童謡・唱歌とおもちゃのミュージアム「わらべ館」(鳥取市西町)で現在、開館30周年を記念した企画展「からくり時計の世界」が開催されている。
企画展初日に行われた「からくり時計miniシンポジウム」の様子
同館は1995(平成7)年7月7日に開館。屋外中庭には、文字盤直径約2.3メートル、重さ約1.5トンの大型からくり時計を設置し、9時~17時の毎正時、童謡メドレーに合わせて人形が動く様子を見ようと来館者が足を止める。館のシンボルとして親しまれてきたことから、魅力を広く知ってもらおうと企画した。
会場となるエントランスホールには、全国から集めた小型から大型まで約50点のからくり時計を展示する。箱から人形が現れて動き出す「からくり函」は、造形作家・アートプロデューサーの夢童由里子さんの作品で、椅子に座って鑑賞できる。商業施設に設置されていた、人形が楽器を演奏する仕掛けがある時計や、「機械式7セグ時計」など多様な作品を並べる。
壁面には家庭向けの壁掛けタイプのからくり時計を配置。中央には、収録したロンドンフィルハーモニー管弦楽団の演奏に合わせ、人形が棒鈴(ぼうすず)を打って生演奏する大型作品も展示する。
受付カウンター横には、同展を監修する「はまなす団」メンバーの白石簾さんが、北海道・登別温泉にあるものを2分の1サイズで再現した高さ約3メートルの「閻魔大王(えんまだいおう)のからくり時計」を設置。動き出して表情が変わる様子は迫力があり、「小さな子どもは少し離れた場所から見ていることもある」と同館イベント係の高橋智美さんは話す。
会場ではこのほか、はまなす団によるからくり時計の歴史解説パネルや、全国のからくり時計を紹介するマップ、映像14点も公開する。
同展を監修した「はまなす団」は、からくり時計の調査研究や修理・保全活動を行う20代4人から成る任意団体。ネットを通じて知り合ったメンバーが2018(平成30)年に結成した。11月2日の初日には、展示解説を行うギャラリートーク、中国地方のからくり時計を紹介する企画、未来を考える「からくり時計miniシンポジウム」も開いた。「メンバーの知識が豊富で、参加者が聞き入っていた」と高橋さん。
初日は地元のほか、関東や東海、四国からも約30人が来場したという。高橋さんは「音楽と動きで楽しめるのがからくり時計の魅力。ぜひ何度でも足を運んで楽しんでもらえれば」と来館を呼びかける。
開催時間は9時~17時。展示は入館料不要のエントランスホールで行い、観覧無料。12月5日まで。