
「藍染工房ちずぶるー」(智頭町)が6月4日、設立認可されてから20周年を迎えた。
智頭町の古民家で藍染め作品を作る同工房。染料の元になる「タデアイ」の栽培からデザイン、染め上げまで一貫して同町で行い、衣服や雑貨、小物を制作している。
2005(平成17)年、国指定重要文化財「石谷家住宅」の公開に際して、土産品となる特産品を作る目的で発足。2015(平成27)年ごろからは事業継承を見据え、約1年間の講座やボランティア受け入れを通じて新メンバーを育成した。2020年に発足当初のメンバーから事業を引き継ぎ、現在は20~50代の女性が中心となって活動する。共同代表の西山美彩子さんは「種から育て、智頭の清らかな水で染め上げ、智頭の空の色や杉山の風景を作品に表現している。設立当初から大切にしてきた『智頭の魅力を届けたい』という思いを今も受け継いでいる」と話す。
継業のきっかけについて、共同代表の柴田千穂さんは「工房で働く人たちと関わり、ここで働くのは楽しそうだと思った。それぞれ得意なことが違う人たちが、得意なことを生かして働いている環境が面白い。何でも『やってみたら』と挑戦させてくれ、失敗を経験できて、納得のいく作品を作っていける。そういうところに良さを感じた」と話す。
継業後はメンバーで話し合いながら作品作りを進めてきた。これまで扱っていなかったオーガニックコットンも導入。オリジナルデザインを増やし、30~40代に好評を得ているという。子育て世代が多いことから、働きやすい時間帯の設定や、ウェブ、インスタグラムを活用した情報発信にも力を入れてきた。昨年は初めて日本文化の祭典「Japan Expo Paris(ジャパンエキスポ・パリ)」に出展した。
20周年を迎え、柴田さんは「継業してからの5年間はあっという間だった。気が早いかもしれないが、私たちの次に継承していく人が育っていってほしい。新しい人に興味を持ってもらい、今までにない感性でデザインなど生み出していってもらえれば」と期待を込める。西山さんは「発信に力を入れるようになってから、海外の人が直接工房を訪ねてくれるようになった。今後は作家の魅力も感じてもらえるような、個人にフォーカスしたユーチューブも発信してみたい。シンガポール、台湾での出展も準備中。世界中に作品を広めていければ」と意気込む。