写真家・池本喜巳さんが開く写真教室のグループ「ちりめんじゃこ」による写真展「ちりめんじゃこ写真展」が9月2日、鳥取の「Gallery(ギャラリー)そら」(鳥取市栄町、TEL 0857-29-1622)で始まる。
池本さんは1944(昭和19)年、鳥取市生まれ。写真家・塩谷定好さんに写真を習い、写真家・植田正治さんの助手を務めながら山陰を写し続けてきた。鳥取県生まれの写真家で山陰を写し続けてきた塩谷さんと植田さんに育てられ、山陰を記録することを受け継ぎたいと、「山陰を撮って死ぬんだ」と25歳ごろに決めたという。「誰か山陰を見つめる写真家がいなきゃいけない。受け継ぐもんがいなきゃ。それを俺がやろうと決めた」と話す。
2018年8月ごろ、「山陰にこだわって写真を撮る後継者を育てたい」と池本さんがネットで写真教室の生徒を募集したのがきっかけで、同グループのメンバーは集まった。池本さんは年配の人向けの写真教室のメンバーを「まぜごはん」と呼んでおり、若いメンバーが集まったことから魚の赤ちゃんの「ちりめんじゃこ」と名付けたという。メンバーは約10人で、松江や米子のほか、ポルトガルやニューヨーク、名古屋など、さまざまな場所から通っている。月1回、「池本喜巳小さな写真美術館」(鳥取市吉方温泉)に集まり、活動している。持ち寄った写真の評論を行い、池本さんから写真についての話などを聞くという。同グループメンバーの山田昌幸さんは「池本先生の経験談、体験談が刺激になる」と話す。
同展はグループメンバーの一人が「やってみようかな」と話したことがきっかけで始まった。毎年1回、秋に開催しており、今年は5回目の開催。展示目的・展示作品数・展示方法など全て「自由」だという。池本さんは「美術館で展覧会を開きたい人から、暇つぶしで写真を撮っている人まで、展示目的はさまざま。展示する写真は、写真展前日に現場で感性や感覚で決めていくので展示数は今のところ分からない。展示方法も、その場で決めたり、突然誰か写真を飾りたい人が来たりしてもいい」という。
展示作品には、例えば、ふんどしに使う「さらし」10メートルに写真を印刷したものや、廃虚で入手した板に廃虚の写真を貼ったものがある。池本さんは「固定概念を排除したい。理想は体に写真を貼って歩きたいくらい。過去の写真にこだわらず新しい表現に挑めと伝えている」とも。
開催に向けて同グループメンバーの山田昌幸さんは「今回初めて作品を出す。『作品って何だろう』と思っていて、手探りになる。でも、今の自分が出せるものを見ていただけたら」と話す。池本さんは「努力して、一生懸命やって、その上に楽しさがある。少しでもいいものになると面白い。本当の楽しさはそこの中にある」と話す。
開催時間は10時~18時(最終日は16時まで)。水曜定休。観覧無料。9月8日まで。