
「やってみたいことがある人」の拠点となる交流施設「みふくや」(鳥取市瓦町)が4月7日、鳥取駅前エリアにオープンして1周年を迎えた。
「みふくや」を所有するのは、古い建物が好きな村田淑恵さん。元所有者と村田さんの夫との出会いが同施設を所有するきっかけだったという。村田さんは「管理する人がいなければ駐車場になってしまうかもしれず、建物をそのまま残したかった」と話す。建物を譲り受けた後、「アーティスト同士の交流の場」を探していたイラストレーターのクララさんと、知り合いを通じて出会った。にぎわいのあった歴史を持つ建物ににぎわいを取り戻したいという思いや、クララさんの活用案から、作品作りやワークショップをはじめ、やってみたいことがある人がさまざまなことに使える施設として活用することになったという。
建物は元遊郭・旅館で、築70年以上の2階木造建て。改修には建築家や建設会社が携わったほか、SNSでの呼びかけで集まった県内外の30人ほどがDIYに参加した。DIYや遊郭が好きな人や建築家に憧れている人など、集まった人の目的はさまざま。村田さんと共に施設を運営する大山文美さんは「みんなで作ったみんなの建物だと感じている」と話す。
完成した施設は1階に土間とキッチン、板間を備える。2階には畳部屋と板間があり、用具などを洗うための幅約3メートルの洗い場や作品を飾るための棚を備え、スクリーンや100センチ×150センチのテーブル3卓も用意する。
同施設はこれまで、カフェや立ち飲み屋などの飲食店、水彩画の展示などの作家活動、落語会や海外の人との交流会などのイベント、友人との料理会、大学の講義やリモート会議など、さまざまな用途で利用されてきた。「劇団が建物を貸し切って公演を行ったこともある。使ってくれる人によって建物の雰囲気が変わるのが面白い」と村田さん。
村田さんは「みふくやは元遊郭でその後旅館として使われた、昔から人が集う場所だったので、またにぎやかになってうれしい。同じエリアでは、1年ほど前に古着店、数週間前にコーヒー店が、古い建物をそのまま生かしてオープンした。古い建物で新たなことが行われているのを、車を降りて歩いて楽しんでもらえれば」と呼びかける。