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鳥取「鳥の劇場」が演劇台本コンテスト 障害テーマや障害者の短編作品募集

「みんなが書く戯曲のコンテスト」のポスターを持つ鳥の劇場の中島さん(左)、野口さん(右)

「みんなが書く戯曲のコンテスト」のポスターを持つ鳥の劇場の中島さん(左)、野口さん(右)

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 「みんなが書く戯曲(ぎきょく)のコンテスト」の演劇の台本の募集が8月1日に始まった。

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 同コンテストは、文化庁委託事業「令和7年度障害者等による文化芸術活動推進事業」の一環で、NPO法人「鳥の劇場」が行う。募集するのは、障害者による作品と障害をテーマとした短編作品。公募と顕彰を通じて戯曲(演劇の台本)の創作・上演文化を定着させ、障害のある人の状況を社会に伝えることで、偏見や差別のない多様な生のあり方を認められる社会を目指す。

 同NPOは2006(平成18)年から、鳥取市鹿野町を拠点に演劇活動を展開。2013(平成25)年からは、障害のある人・ない人が一緒に舞台を作る「じゆう劇場」も続けてきた。同コンテストの開催について、同NPO代表理事・芸術監督の中島諒人さんは「舞台に立つことのできない人も含め、障害をテーマにさまざまな声を拾いたい。障害は人間関係の中にあり、戯曲は人間関係を扱う表現方法なので、障害を語るのにフィットしている」と話す。

 今年で3回目となる同コンテスト。過去2回の開催では、予想を大きく超える436点の応募があったという。中島さんは「必要としてくれる人が多くて驚いた。日本の社会では話を聞いてほしいけれど、聞いてもらえていない人が多いということ。聞かれることを求める声が、まだ眠っている」と話す。

 同コンテストでは、初めて戯曲を書く人に向けてのサポートも用意。ウェブサイトでは、プロの劇作家による戯曲の書き方についての動画も配信する。エントリーした人には、戯曲の解説や書き方の動画を送る。1次選考を通過した作品は、最終選考までにプロの劇作家が2回アドバイスを行う「併走支援」も取り入れる。

 アメリカのクイーンズシアターと連携し、入選作品の一部は2026年春に同シアターで上演予定。「障害のある人は、社会から与えられる条件の中で生活している。日本文化の中で作られる戯曲と、アメリカ文化の中での戯曲ではそうした条件が違い、文化の交流も面白い」と中島さん。

 中島さんは「さまざまな人の心の中で起きていることを知ってもらうことは、壁をなくしていくことにつながる。コンテストを通じて、あなたにとっての壁を教えてもらい、周りの人が『そんな壁ならなくせる』と思えるといいのでは。10分ほどの台本なので、頑張れば1日でかける。初めての人もきっと書けるので、挑戦してもらえれば」と応募を呼びかける。

 応募締め切りは9月30日。要事前エントリー。

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