(左)澤伸夫さん、(右)澤周子さん
網代港で水揚げされた海産物の仲卸店「澤鮮魚 お庄」(岩美町大谷)がオンラインストアを始めて、6月末で半年を迎える。
オンラインストアを担当するのは営業担当の澤伸夫さん。2023年9月、約20年の単身赴任から定年退職を迎え岩美町に帰郷後、2代目で澤さんの母親・夫暉(ふき)さんと妻・周子(なりこ)さんが切り盛りする同店の営業を担当する。
同店は澤庄(さわ・しょう)さんが同所で創業した地元の小さな仲卸。網代港の漁業協同組合の仲卸業者資格を得て澤鮮魚・屋号「お庄」としてスタートし、65年以上の間、鳥取市の小売店などに海産物を届け続けている。
(左)今から約33年前、初代から引き継いで間もない頃の当代・澤夫暉さん
澤さんによれば、故郷に戻って仲卸に携わる中で「網代港で水揚げされる魚は、都会ではなかなか味わえない。鳥取県の人だけでなく、もっと全国の人に食べてほしい」という思いが膨らみ、オンラインストアを始めることになったという。
網代港に水揚げされた海産物
2023年10月に準備を始めという澤さん。何もかもが初めての挑戦だったというが、出品する海産物の下処理などを行う加工場を自ら改装し、水産製品製造業を取得。家族との相談を重ね、試行錯誤しながら出品の方法や商品を決定し、約2カ月後の2024年1月1日、オンラインストアを公開した。
「澤鮮魚」のオンラインストア
出品する商品は鳥取を代表とする海産物・松葉ガニほか、ハタ・キス・甘エビ・カレイ・タラ・ミミイカ・ワカメなど。季節に合わた旬の海産物を下処理した後、真空パックに入れて冷凍で発送するほか、商品によっては食べ方などの解説なども併せて送付するという。「ちょっとでも安く、ちょっとでも新鮮な魚をおいしく食べてほしい」という思いでやっているという澤さん。「お客さまから『こういう風にして食べた』と感想がメールで写真付きで送られてくると、とてもうれしい」と話す。
加工場の説明をする、澤伸夫さん
「自分は修業中の身。早く同業の人に追い付かなければ」と、競り落とす価格を把握するため、毎日メモした数字をパソコンでグラフ化し、毎日価格の傾向を把握しているという澤さん。オンラインストアについては、「(思ったより)売れない。ものがよくておいしければ売れるのかなと思っていた」と振り返り、今後については、「地元のお客さまを大事にしながら、ゆっくりとやっていければ」と話す。