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不思議な縁で引き寄せられた~八頭町・トレーニングファーム第1期生・渡辺彌龍さんに話を聞く

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 「八頭町果樹トレーニングファーム」の就農研修生(第1期生)が1人決定し、10月1日から研修が始まった。

 同研修は梨・柿の果樹農家の新たな担い手の育成と果樹産地の維持・発展を図るため、八頭町が今年6月3日に八頭町農業公社内に開設した研修体制。8月2日までの期間、就農研修生を募集し、9月上旬、神奈川県横浜市に住む渡辺彌龍(ひりゅう)さんが就農研修生第1期生に選ばれた。

横浜市内で宅配ピザ店の店長をしていたという渡辺さん(31)。今回、なぜ研修を受けることになったのか、志望動機や今後の意気込みについて話を聞いた。

――――就農研修生に、応募することになったきっかけは?

実は(八頭町とは)不思議な縁があり、ピザ屋さんの店長やっていた時のアルバイトに来ていた人が、八頭町の梨農家のめいっ子さんで、私が仕事の休憩中に「田舎で農家がやりたいな」と何気なくつぶやいた時、たまたまその人が聞いていたんです。そこから紹介してもらい、「農家の生活と仕事を、短期でまずは体験してみては?」という話になり、会社を退職した後、6月9日から2週間、八頭町で住み込みで梨・柿の果樹農家の体験をしました。

――――偶然の出会いがあったんですね。農家にはもともとなりたかった?

27歳の頃から農家になりたいという思いはありました。ただ仕事も忙しく、農家になるにはどうすれば良いか全く分からない状態でした。

――――そのアルバイトの人が後押しになりましたね

そうですね。他にも2カ所ほど農家の受け入れの話もあり、紹介してもらった当時は八頭町に住むという事までは全く考えられておらず、「まずは一度体験してみよう」という気持ちでした。実際、八頭町に行ってみると非常に気に入りました。都会に比べて何もなく、生き物も、カエルとかホタルなどもいて、神奈川にはなかなかない環境で私が憧れていた場所でした。

――――八頭町果樹トレーニングファームのことは知っていたのですか?

研修については全く知りませんでした。梨農家での体験中に「梨農家に限らず農家を目指す人に向けた案内はないか?」と相談しました。そこで八頭町役場の宮本昌弘さんを紹介いただき、「ちょうど今年、トレーニングファームというものがありますよ」という流れになりました。

――――では、すぐに応募ということになったのですね

移住して研修期間中、どのように生きていくか。生活がすごくイメージしやすかったです。自分は悩んだり迷ったりするのが苦手だったので、そのまま「よし行こう!」ということで応募を決めました。

――――内定をもらってから移住まで約1カ月。居住探しなど苦労することはありましたか?

特に苦労はなかったですね。「家をどうしよう」という中で、良いところが見つかるまで農家体験でお世話になった農家さんの家に住まわせてもらう選択もありましたが、役場から「この家なんかいいんじゃないですか?」という話をたくさん頂きました。もともと「田舎っぽい家がいいな」というイメージをしていましたが、今住んでいる家(昭和15年築)はイメージとぴったりで、内見を1回して決めました。

――――研修が始まって、今日までの研修についてお聞かせください

10月1日に開講式で始まり、現在は梨の果樹園と柿の果樹園で作業を通して知識を深めているところです。梨の作業は、現在は枝を切る作業や抜根をするため準備をしていて、柿では収穫作業をしています。8日には、月1回の座学があり、「研修に当たっての心構え」「10月・11月の、それぞれ梨と柿の作業をどんなことをするのか?」「何のためにこの作業をしているのか?」などを学びました。

指導を受ける渡辺さん

――――指導員のことや、果樹栽培を実際にやってみてどうですか?

まだ始まったばかりですが、指導員の人は一言で「優しい」です。柿の作業は初めてやりましたが、収穫で柿の色がついているかついていないか、日の当たり方や、葉っぱが影になっているかで見え方が異なるので難しいと感じました。トレーニングファームで梨の収穫はまだ体験していないのですが、取る順番に気を配りながら取らないといけません。今、取っている部分が先端なのか、幹に近い部分を取っているのかの見極めが難しいです。

――――都会に住んでいた頃と比較して現在の生活はどうですか??

神奈川にいてる頃は、日をまたいで働いていたりもしたのでこちらに来てからは、のんびり過ごしています。

趣味のバイクと渡辺さん

――――今後の意気込みについてお聞かせください

八頭町で一番いい梨をつくれる農家になりたいと思っています。それを世の中に発信して、いろいろな人に八頭町に足を運んでいただき、「食べ物がどのようにできているのか?」も伝える農家になりたいです。

――――食についても、伝えていきたいということですね

幼少期から「食べ物を粗末にするな」という教育ももちろんありましたが、生き物が好きで、ポイ捨てなどで生き物に与える影響などをすごく気にする性格でした。生きていくには命を頂いて食べていかなければならない。お金を払えば何でも買える時代ですが、そこを当たり前だと思うのは違うという思いがありました。命を頂いていることに対する感謝の気持ちが持てる人を増やす一助になれればと思っています。

――――渡辺さんの夢がかなうよう、応援しています。今日はありがとうございました。

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