
青谷弥生人女性の復顔像を披露する「青谷弥生人女性復顔像除幕式&記念講演会」が3月20日、鳥取県立青谷かみじち史跡公園展示ガイダンス施設YAYOINE(鳥取市青谷町吉川)で行われる。
同園のある青谷町には、2008(平成20)年に国の史跡に指定された「青谷上寺地遺跡」があり、弥生時代は日本海を行き交う人々が集い、交易の拠点としてにぎわった港湾集落だった。同園は、「弥生時代の人々の暮らしをリアルに体感できる」ことをコンセプトに、国指定重要文化財の出土品約1300点を収蔵・展示。勾玉(まがたま)作りや火おこし体験などの「弥生体験」を提供する。2024年3月に開園し、今年で1周年を迎える。
鳥取県では、弥生時代に暮らしていた人々の姿を探る研究を進めてきた。研究の過程で「復顔」に必要な情報が集まり、弥生時代について理解を深めてもらうため、復顔像の制作に至ったという。2021年10月に成人男性の復顔像が初めて完成し、2024年3月に10代前半の男子の復顔像を公開。今回は成人女性の復顔像を新たに公開する。
復顔像の制作を担当する浜田竜彦さんは「復顔は骨から行っている。初めて復顔像を公開した時から、『弥生人女性はどんな顔をしていたのか見てみたい』という声があったが、当時は復顔できそうな骨が見つかっていなかった。その後、適した骨が見つかり、女性の復顔像を制作できた」と話す。
当日は、女性復顔像除幕式と記念講演会を開催。除幕式では、復顔像の披露や写真撮影、文化財専門員による解説を行う。記念講演会では「青谷弥生人の素顔~復顔像制作の道のり」をテーマに、骨から顔がどのようによみがえるのかなどを解説。併せて、3月17日まで応募を受け付けた「公開前に想像で描いた女性復顔像」の投票結果を発表し、優秀賞1点を決定する。
併せて5月18日まで、青谷上寺地遺跡から多く出土している「かご」や、その復元品を展示する企画展「弥生のかご」も開催している。
浜田さんは「弥生時代の人々は、現代人と全く異なる存在ではない。青谷では弥生時代から身近な道具として『かご』が使われ、交易も行われていた。現代と共通する特徴があり、青谷弥生人は遺伝的にも現代人と多くの共通点を持つ。復顔像を通じて、弥生時代に関心を持ってもらえたら」と話す。
同施設文化財主事の北浩明さんは「顔は多くの人が興味を持ちやすいもの。復顔像を見ることで、弥生人に親しみを感じてもらえるのでは。今月は1周年を記念したイベントも開催しているので、ぜひ訪れて弥生時代を体感してほしい」と呼びかける。
開催時間は、除幕式=10時~10時30分、記念講演会=11時~12時。入場無料。