国際演劇祭「鳥の演劇祭19」が9月18日から、鳥の劇場(鳥取市鹿野町)と周辺を会場に開催される。
同演劇祭は2008(平成20)年から毎年開催し、今年で19回目。国内外の現代演劇、サーカス、ダンス、人形劇、障害のある人も参加する作品、親子で楽しめる作品など、多様な舞台作品を紹介してきた。今年は、期間中に迎える鳥の劇場20周年を記念し、これまでの演劇祭で印象に残る上演や交流を重ねてきたカンパニーや舞台芸術家を招く。
鳥の劇場芸術監督の中島諒人さんは「海外の劇団に声をかけても、みんな『行く、行く』と喜んで来てくれる。地元とのつながりや、国境を超えた舞台芸術家との信頼や友情など、20年でいろいろな意味で土台ができた。その土台をもとに、さらに多くの人にここへ足を運んでもらいたい」と話す。
開幕を前に、会場では準備が進む。新設した野外舞台の準備、フランスから来た舞台芸術家による衣装制作、スコットランドの舞台芸術家が出演する作品の明かり作りなどが行われている。期間中は国内のほか、海外6カ国からも舞台芸術家が集結。中島さんは「外国の演劇を見るのは海外旅行のようなところがある。それぞれの国の文化やその国らしさを感じられるのも楽しい。海外旅行気分でいろんな国を旅してもらえれば」と呼びかける。
期間中は12作品を上演する。仏俳優ディディエ・ガラスさんが一人で戦争の全てを演じる「戦争 SENSO The Game of War」は、新設した野外舞台で初演する。鳥の劇場とスコットランドの舞台芸術家が共同で手がける「TOWA MURA」は、スコットランドでプレビュー上演し、今回、鳥の劇場で初めて上演する。スコットランドの舞台芸術家たちが拠点とするダンフリーズ・アンド・ガロウェイは、鳥取と同じく過疎化が進む地域で、お互いの共通体験をもとに作品を創作したという。
10月3日・4日には、演出家・鈴木忠志さん率いるSCOTが「『からたち日記』由来」を上演する。鈴木さんは中島さんの師に当たり、1976(昭和51)年から富山県利賀村を拠点に演劇活動を続けてきた。中島さんは、鈴木さんの富山県利賀村での活動を範として、鳥の劇場での活動を展開。「利賀村の活動があったからこそ、鳥取でやっていこうと思えた。地域の生き残りや、未来を切り開くために演劇を役立てたい」と話す。
海外の舞台芸術家による国際芸術交流ワークショップも行う。ダンス、音楽、戯曲リーディング、子どもの演劇の4つを用意。参加者が芸術家と共に作品を作り、鳥の劇場が初公演を行ってから20年の節目となる9月23日に成果を発表する。中島さんは「外国の人と出会いながら一緒に芸術を体験できるのは、ここだから提供できる機会。表現する楽しさを味わってもらえれば」と期待を寄せる。
期間中は、20周年記念シンポジウム「みんなの『生きる』と劇場のつながりを考える」を開くほか、鹿野町内の歴史を巡る「鹿野ぶらぶらまち歩き」、出演者と来場者が飲食を共にするパーティーなども行う。「映像と違い、演劇は演じる人が来て、お客さんが巻き込まれていくことによって、一緒に空間ができる。終わった後には出演者と直接会ったり、話したりすることもできる。そういう生身のコミュニケーションを楽しんでもらいたい」と中島さん。
今回の演劇祭のテーマは、「戦争、民主主義の危機、円安、物価高騰、地方はたいへん!だからやります!」。中島さんは「演劇は生のエネルギーを直接もらえる。演劇を介して人と出会うと世界が広がる。いろいろと不安の多い社会の中で『みんなの中で生きていればなんとかなるよ』というような感覚を持つきっかけになれば、それが我々にとっての、地域の未来をつくっていくこと。演劇や人との出会いが、日々を楽しく生きていくための一つの糧になれば」と笑顔を見せる。
チケット料金は、大人=2,000円~、学生割引=1,000円、18歳未満=500円、未就学児無料。当日券は座席に空きがあった場合にのみ、各会場でプログラム開始の1時間前から販売する。作品ごとの公演日時、チケット予約などの詳細は「鳥の演劇祭19」ウェブサイトで確認できる。10月4日まで。